真空調理
真空調理とは
鮮度管理された食材を生のまま、あるいはあらかじめ熱処理して調味料・調味液と一緒に真空包装し、温度と時間管理が正確に行える加熱機器で袋ごと低温加熱する調理法。
素材内の空気が抜け、代わりに調味料が素材によく浸透する。(但し、味が濃くなるわけではない)その結果熱の伝導性が高まり、芯温58℃~95℃での加熱でも、望ましい状態に仕上げる事ができる。加えて、食材組織の過度な収縮がなく、歩留まりや味の均一性に優れる。
「真空調理法」と「レトルトパウチ食品」との違い
レトルトパウチ食品は,加圧による高温(110℃~140℃)加熱をすることで滅菌し、常温保存を可能にした食品で、常温下でも食中毒発生のリスクが小さいことから、一般家庭用に広く普及している。
一方、真空調理法による料理は、加圧をしないこと、および必要以上の高温加熱をしないことによって、食品の安全性はもちろん、食材本来の美味しさや食感・栄養分など高い品質をも兼ね備えた調理法である。
真空調理法の加熱温度と時間について
加熱時の中心温度は、厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」では、【芯温75℃で1分以上またはこれと同等以上まで加熱されていること】とされているが、真空調理法では、75℃未満の低温で加熱調理を行う事が多いため、75℃で1分以上と同等の殺菌効果がある方法を取る事が多い。
また、ノロウイルス対策温度として85℃1分以上の場合もある。但し、同等の加熱における、明確な基準は示されていない為、各施設での細菌検査の実施など、自主衛生管理が重要となる。
真空調理法における衛生管理について
真空調理法において特に問題になる細菌として、ボツリヌス菌・ウェルシュ菌など、芽胞を形成する編成嫌気性細菌等がある。これらの菌は耐熱性が非常に強く、酸素のない状態で増殖する。真空調理法の場合、加熱温度帯が低く、これらの微生物の芽胞を殺すことができず、芽胞が生き残った状態で保存温度をチルド温度帯(0~3℃)以上に放置した場合、微生物が増殖し毒素を産出する危険性があるため、0~3℃の保存を徹底する。
(図2)真空調理の基本工程